コメント

ライムスター宇多丸

一人の作り手が歩んできた軌跡を、その始まりから(とりあえずの)終わりまで、点ではなく線として追い続けること……作品毎にオリジナルなコンセプトを「発明」し続け、言わば「一貫性のある自己変革」を繰り返してきた森田芳光ほど、その醍醐味が味わえる映画監督もいないのではないかと思います。今回リリースされるこの画期的ボックスセットと、目下鋭意作業中の単行本『森田芳光全映画』によって、とかく80年代に偏りがちだった従来の批評軸が刷新され、文字通り全ての森田映画が、より正当に評価されるよう願ってやみません。もっとはっきり言ってしまえば、『家族ゲーム』だけが森田芳光の「最高傑作」というわけでは、まーったくないのだということ!
各社を股にかけて活躍してきた異例なまでの人気監督であるがゆえに、そのキャリアを一気に一望できるこの機会は、本当に本当に貴重なものであるということも、改めて強調しておきたいあたりです。